倭姫大后の立后について
倭姫大后の話が出てきたところで長岡さんの『夢の奥城』から少々語ってみます。
『夢の奥城』は私の中でバイブルとなっているくらい大好きで100回以上読み込んでいる作品です。
その中で、天智が即位し、倭姫が立后する場面があるわけですが
倭姫 「皇后は皇族出身でなければならぬ慣習 数多い妃たちの中で皇族出は私だけなのですもの」
由伎賣「いいえ、 帝はその気になれば前例など意に介するお方ではありません
御子もなく頼りとされるお身内もない姫王様をお立てになられたのはただ帝のご決意一つに相違ありません」
こんなやりとりがあります。
この話の倭姫が大好きな私としては「そのとおり!」と言いたいわけですが、一方で何故だろうと思う気持ちもあります。
皇族出身の妃ということでそれまで納得していたのですが、そもそも皇族出身の娘が倭姫しかいないというのはおかしいんじゃないかな~?と思うんです。
天智の母の宝女王は、皇后となり後に即位しますが、舒明の妻となった時点では敏達4世の王族でしかないのを、舒明の皇后とするために引っ張りだされています。
3世、4世の王女なら探せば見つかりそうな気がするのですが…。
実家がなく後ろ盾がないということでは後の持統も同じですが、皇子がいるのといないとの差は大きいのでは?
天智崩御の後、倭姫が即位したとかしないとかの話もありますが、我が子がいないのに、何のための中継ぎでしょうか?。
中大兄皇子がなかなか即位しなかった理由は、皇后となるべき妃がいない=立太子できる皇子がいなかったからではないかなぁと密かに思っています。
46歳の崩御は若過ぎますが、何も講じてなかったとは思えないのですが。
『日本書紀』に天智の皇后についての記載が少ないのはなんらかの意図を感じますねー。
まぁ『夢の奥城』の一ファンである私としては「帝のご愛情」であれば一番嬉しいんですけどね☆
夢の奥城 (秋田文庫―古代幻想ロマンシリーズ) (2004/07) 長岡 良子 |